「ト、トンネルが落ちてる…!」新トンネルも7年で崩れた「廃線・廃道の銀座」まもなく通行止め解除へ 凄まじい戦いの歴史の現場
静岡県の大崩海岸は道路と自然の戦いの歴史を物語る場所です。かつての国道150号である県道416号は崩落で今も一部が通行止めですが、その現状を現地で確認しました。
“大崩”の名にふさわしい歴史
国土の大半を山地が占める日本で、道路や鉄道の建設と維持は、自然との戦いでもあります。自然を克服して安定した交通を確保できたところもあれば、維持を放棄して自然に還るままとなったところも。そうした戦いの跡や現在進行形で続いている戦いを目にすることができる場所もあります。
静岡市の南、焼津市との境にある「大崩海岸」はまさにその好例。大崩海岸は、南アルプスから峰々を連ねてつながる「高草山」の山塊が駿河灘に落ち込む場所です。
静岡市と焼津市との間には「国道150号」「東名高速」「東海道本線」「東海道新幹線」などの大動脈が通っていますが、これらはいずれも大崩海岸を長いトンネルで抜けていきます。また、並行する「国道1号」「新東名」はそもそも大崩海岸を避けて山側を通っています。大崩海岸の際を地形に沿って走るのは「静岡県道416号」のみです。
このように大崩海岸が主要道、鉄道から忌避される理由は、その地形的、地質的な特徴によるものです。大崩の名が示すように、ここは高さ100mを越える断崖が海に接し、かつその組成はもろく崩れやすい状態で、古来よりたびたび崩落事故が起きています。
東海道本線は1889年に静岡-浜松間が開通した際、この区間を「石部隧道」「磯浜隧道」という2本のトンネルと、その間をつなぐ築堤を走る形で開業しました。しかしこの工事中に、落盤事故で犠牲者を出しています。
その後、東海道本線は「弾丸列車計画」で建設された「日本坂トンネル」経由となったのち、2本のトンネルを結合する形で改修された新たな「石部トンネル」を通過する形となり、大崩海岸で列車が姿を現すことはなくなりました。
現在、唯一この海岸を通過する県道416号はかつての国道150号で、断崖を穿った路盤で広域交通を担っていました。また東海道本線が日本坂トンネル経由になった時期には、空いた鉄道のトンネルを使っていた時期もありましたが、東海道本線がこちらに戻ってからは、断崖沿いのルートに復帰しました。
しかし1971年に発生した大規模な崩落により道路は埋まり、乗用車1台が土砂の下敷きになる事故が発生します。この事故後、断崖沿いのルートでの復旧は断念され、この区間は橋により海上を迂回する新道の建設が決まりました。
こうして1972年に開通したのが「石部海上橋」で、現在の県道416号の形が定まったのです。




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