コンテンツにスキップ

半落ち

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
半落ち
著者 横山秀夫
発行日 2002年9月
発行元 講談社
ジャンル 警察小説ミステリ
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判
ページ数 360
コード ISBN 978-4-06-211439-4
ISBN 978-4-06-275194-0(文庫本)
ウィキポータル 文学
[ ウィキデータ項目を編集 ]
テンプレートを表示

半落ち』(はんおち)は、横山秀夫の小説。またそれを原作とするテレビ・映画作品である。

「半落ち」の原義は警察用語で、「一部自供した」という意味である。

受賞歴等

[編集]

小説は2003年第128回直木賞の最終選考過程まで残るものの落選した。選考後、一部選考委員から「致命的欠点が存在」と指摘され、議論を巻き起こした(詳細については横山秀夫の項を参照)。作品は辛辣な批評を受けたものの、読者の好意的な評価を得てベストセラーになるとともに、2003年週刊文春ミステリーベスト10第1位に選ばれている。

小説を原作とした映画は、2005年第28回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞し、主演の寺尾聰最優秀主演男優賞を獲得するに至っている。音楽担当の寺嶋民哉も優秀音楽賞を受賞[1]

また、テレビドラマ版は2007年12月8日に『土曜ワイド劇場』30周年・放送1500回記念特別企画としてテレビ朝日系列で放送された(BS朝日でも2008年1月20日に放送された)。

ストーリー

[編集]

「私、梶聡一郎は、3日前、妻の啓子を、自宅で首を絞めて、殺しました」

県警捜査一課強行犯係指導官、志木和正警視は、連続少女暴行事件の捜査に当たっていた。犯人確保の電話を待つが、かかってきた電話の内容は、上司からの「現職警察官による、妻の殺人の取り調べを担当せよ」という依頼だった。自首してきた犯人、元警察官の梶聡一郎は、アルツハイマー病に侵された妻の啓子を殺害した動機、経緯についてすべて正直に話し、事件は「完落ち」で終わるかに見えた。

だが、事件が発生してから出頭するまでの「空白の二日間」について、梶は一切の供述を拒否する。その後、家宅捜索と新聞社によって、「空白の二日間」に梶は歌舞伎町へ行ったらしい事がわかった。また、梶の自宅には人間五十年という奇妙な書が残されていた。「空白の二日間」の供述をじっくりと取ればよい、と考えていた志木だが、「歌舞伎町」の悪いイメージが独り歩きすることを恐れた上層部は、保身のため、梶に虚偽の供述をさせるよう志木に強制する。

事件は検察にまわされ、志木と面識のある地方検察庁三席検事、佐瀬銛男は、供述が捏造であることを見抜き、警察内部の調査を進めようとする。志木に捜査を託された佐瀬は、県警に無断で検察による梶の家宅捜索を行うが、肝心な物証はすでに県警に持ち去られた後だった。いよいよ警察本部の調査に乗り出そうとしたとき、横領の疑いで以前から内偵を受けていた検察内部の人間が、置き引きにより県警に逮捕される。上位捜査機関である検察の人間が、下位組織の警察に逮捕されるなどということは、検察にとってあってはならない恥辱である。県警は検察に「逮捕は検察内部の調査により行われた」こととする代わりに、梶の事件について、供述の捏造を黙認するよう取引を持ちかけた。検察は取引に応じ、県警の不正を暴こうとした佐瀬の努力は闇に葬られる。

偶然にも、佐瀬の口論を聞いてしまった東洋新聞支局記者 中尾洋平は、独自に調査を開始し、梶聡一郎の「空白の二日間」と「供述の捏造」を説明するための情報を集め始める。駆け引きの末、ついに一大スクープを得たが、警察、検察の隠蔽にあい、立ち消えとなってしまう。

佐瀬と同期生の居候弁護士 植村学は、被害者の姉(=梶の義姉)である島村康子に、梶の弁護を引き受けたいと持ちかける。その裏には『人権派で名を上げたい』という考えがあった。梶の私選弁護人となった植村は、島村から梶は歌舞伎町に行ったことをつかむが、梶からは証言を得ることができなかった。この不完全な証言では不利になると考えた植村は、島村の証言を公表しなかった。

時間がたち、事件も忘れ去られたころ、裁判官の藤林圭吾は、この事件の担当になる。警察発表に疑念を持ちつつ、初公判に臨むが、警察、検事、弁護士までが、「空白の二日間」について口をつぐんでいた。現実に藤林は驚愕するが、高名な裁判官だった父もアルツハイマー病に侵されており、梶の妻のように「自分がまともなうちに殺してくれ」と、妻に頼んでいたことを知る。裁判で、佐瀬は梶を厳しく糾弾しながらも、懲役4年という短い求刑をする。藤林は真相の解明を諦め、その求刑を受諾することにした。

定年間近の刑務官 古賀誠司は、新しく迎えたおかしな受刑者、梶聡一郎の処遇に困っていた。そこに志木という男からたびたび電話が入るようになる。そして遂に志木は、「人間五十年」の謎の解明に成功する。

映画

[編集]
半落ち
監督 佐々部清
脚本 田部俊行
佐々部清
原作 横山秀夫
出演者 寺尾聰
原田美枝子
吉岡秀隆
鶴田真由
伊原剛志
高島礼子
樹木希林
西田敏行
柴田恭兵
音楽 寺嶋民哉
主題歌 森山直太朗
撮影 長沼六男
製作会社 「半落ち」製作委員会(東映
TBS
住友商事
東京都ASA連合会)[2]
配給 東映[3]
公開 日本の旗 2004年1月10日
上映時間 121分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 19億円[4]、20億円[2]
テンプレートを表示

正月明けのシーズン・オフの公開だったが[5]中高年を含む広い客層を集めて堂々たる成績を挙げた[5]。「さくら」で大ヒットを飛ばしたシンガーソングライター森山直太朗映画主題歌に初挑戦した[2]

新聞記者の中尾洋平が、「中尾洋子」として女性記者に変更されている。

2005年3月23日にTBS系列の「水曜プレミア」でテレビで初めて放送された。2007年12月27日にテレビで再放送されて、視聴率は11.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

出演者

[編集]

その他

[編集]

スタッフ

[編集]

作品の評価

[編集]

興行成績

[編集]

2004年1月10日から丸の内TOEIほか東映系全国236スクリーンで公開[5]興収20億円を挙げ[2]、約180万人を動員した[2][5]

受賞歴

[編集]

ソフト

[編集]

東映ビデオより、2004年7月9日にレンタル専用ビデオVHS)が、セルDVDが7月21日に映像特典付きで発売されている[2][5]

テレビドラマ

[編集]
半落ち
ジャンル テレビドラマ
原作 横山秀夫
脚本 佐伯俊道
演出 土方政人
出演者 椎名桔平
渡瀬恒彦
高嶋政伸
エンディング土曜ワイド劇場」と同じ
製作
プロデューサー 佐藤涼一
川島保夫
越智貞夫
高橋萬彦
制作 テレビ朝日
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間2007年12月8日
放送時間土曜 21:00 - 23:21
放送枠土曜ワイド劇場
放送分126分
回数1
土曜ワイド劇場
テンプレートを表示

テレビ朝日系列2時間ドラマ土曜ワイド劇場』(土曜21:00 - 23:21、JST)で30周年特別企画[7]として2007年12月8日に放送された。主演は椎名桔平

志木目線でストーリーが進み、志木が梶の元部下という設定が追加されている[7]。また、尺の都合もあって裁判のエピソードはカットされており、弁護士の植村と裁判官の藤林は登場しない。ただし、藤林の設定の一部は志木に取り入れられている。視聴率は18.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

出演者

[編集]

スタッフ

[編集]

備考

[編集]

脚注

[編集]
  1. 第28回 日本アカデミー賞 優秀賞”. 日本アカデミー賞協会. 2025年6月25日閲覧。
  2. 1 2 3 4 5 6 半落ち東映ビデオ
  3. 半落ち”. 日本映画製作者連盟. 2026年4月4日閲覧。
  4. 2004年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟
  5. 1 2 3 4 5 KOHICH HINO「ビデオグラム情報 VIDEOGRAM PREVIEW 半落ち」『月刊ビデオ&ミュージック』2004年7月号、東京映音、44頁。
  6. “虎党の西田敏行、連敗に不安げ…映画「半落ち」ゲスト出演”. スポニチOSAKA. 2003年10月20日. 2003年12月28日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2014年6月12日閲覧.
  7. 1 2 3 “椎名桔平で「半落ち」ドラマ化…映画とも原作とも違う「全く新しい作品」”. スポーツ報知. 2007年7月17日. 2007年8月19日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2014年6月12日閲覧.

外部リンク

[編集]
半落ち
Morty Proxy This is a proxified and sanitized view of the page, visit original site.