公明選挙区
公明選挙区(こうめいせんきょく)とは公明党の候補者が立候補する選挙区のこと。
主に当選者が1人である小選挙区制[注 1]における衆議院議員総選挙で公明候補が立候補する選挙区のことを指す。2000年衆院選から2024年衆院選までの9回の総選挙で、小選挙区に候補者が擁立された。
沿革
[編集]小選挙区導入初回である1996年衆院選では公明党は候補者を擁立しなかったが[注 2]、1999年に自公連立政権が誕生し、2000年以降の衆議院議員総選挙では300の小選挙区[注 3]のうち公明党の地盤が強い一部の選挙区で公明党が候補者を擁立する一方で自由民主党(自民党)が候補者を擁立せずに自民党支持層が公明候補を応援するという構図が一部の地域で発生するようになった。
2000年
[編集]2000年衆院選では公明党は18人(現職16人〈うち、前回比例単独候補4人〉、元職2人)を小選挙区に擁立し、うち7人が比例ブロックと重複立候補した。基本的には公明党が候補者を擁立した選挙区では自民党は候補者を擁立しなかったが、一部の選挙区(千葉県第2区[1]、東京都第17区[2]、静岡県第1区[3]、高知県第1区[4])では自民候補も立候補して競合することとなった[注 4]。ほかにも自民系無所属候補に敗れたり(東京都第4区[5]、静岡県第1区)、共倒れしたり(千葉県第2区[6]、東京都第20区[7]、神奈川県第6区[8]、愛知県第1区[9])するケースもあった。当選は7人(全員が前回小選挙区当選)に留まった(ほかに2人が比例復活)。
2003年
[編集]2003年衆院選以降は公明候補は重複立候補制度を利用せずに小選挙区のみの立候補となっている。また同衆院選から公明候補が立候補している選挙区で自民候補が立候補して競合することはなくなり、公明選挙区は自民選挙区とで完全に棲み分けが行われるようになった[注 5]。
2003年衆院選では前回当選(比例復活を含む)した9人と、自民党とのコスタリカ方式により小選挙区に擁立された1人の計10人が立候補した。再び敗れた埼玉県第6区以外の9議席を得た。
2005年
[編集]2005年衆院選では前回当選した9人が擁立された。同衆院選では郵政国会で自民党衆議院議員ながら党議拘束に反して郵政民営化法案に反対した反郵政民営化自民系候補に、自民党執行部が郵政民営化賛成派候補(いわゆる「刺客」)を擁立する小泉劇場となった。東京都第12区では自民党と公明党でコスタリカ方式が取られており、2003年衆院選では公明党の太田昭宏が選挙区候補、自民党の八代英太が比例単独上位であったため、次回衆院選では太田が比例上位、八代が選挙区候補の予定だった。しかし、八代は郵政法案に造反したため、自民党を離党して無所属で立候補した。そのため、太田は与党統一候補として選挙区で立候補し、東京都第12区は自民系郵政造反組が立候補する選挙区の中で唯一の公明選挙区となった[注 6][10]。同衆院選では沖縄県第1区で敗れ、それ以外の8議席を得た。
2009年
[編集]2009年衆院選では前回当選した8人が擁立されたが、政権交代への期待から民主旋風が起こったことで、小選挙区で立候補していた公明候補は8人全員が落選する事態となった。
2012年・2014年
[編集]2012年衆院選では新たに北海道第10区[11]を加えた9つの小選挙区で公明候補[注 7]が擁立された。橋下徹大阪市長が創設者である大阪維新の会を母体とする日本維新の会は小選挙区で立候補した公明候補を推薦するという形で競合を避けたことで、公明候補は自民候補や維新候補と競合することなく選挙戦を戦った。結果、初めて小選挙区の候補者が全員当選した[12]。
2014年衆院選では前回当選した9人が再び擁立された。大阪維新の会を母体とする維新の党が、大阪の地方政治における課題である大阪都構想の進め方に関して公明党と
2017年・2021年
[編集]2017年衆院選、2021年衆院選では大阪維新の会を母体とする日本維新の会が、神奈川県第6区(2017年)[14]、東京都第12区(2021年)[15]と、維新候補を公明選挙区で擁立し一部の選挙区で公明候補と維新候補が競合した[注 8]。一方、維新の発祥地であり強い地盤を持つ大阪府や維新勢力が浸透している兵庫県では公明選挙区で維新候補を擁立しなかったことで、大阪府や兵庫県の6つの公明選挙区では公明候補は自民候補や維新候補と競合することなく選挙戦を戦った。
2017年衆院選でも前職9人が擁立されたが、神奈川県第6区で公明候補が立憲民主党の前職に惜敗し8議席を得た[16]。これ以降神奈川県の小選挙区から撤退した[17][18]が、2021年衆院選では新たに広島県第3区[19]が加わったため、以前と変わらず9つの小選挙区で公明候補(前回当選7人、比例から転出2人)が擁立され、全員が当選した[20]。
2024年
[編集]2024年衆院選では日本維新の会は方針を転換して大阪府と兵庫県の公明選挙区でも候補を擁立して公明候補と維新候補が競合する選挙戦となった。公明候補は兵庫県(第2区・第8区)[21]は全勝したが大阪府(第3区・第5区・第6区・第16区)[22]では全敗した。大阪府の小選挙区で敗れたのは2009年衆院選以来であった。
同衆院選ではいわゆる一票の格差是正を目的とした小選挙区の10増10減が行われ、区割り変更により新設された東京都第29区に公明党の前職が国替えした[23]ため、元の区割りの一部である東京都第12区には2000年衆院選以来となる自民党候補が選任されることになった[24]。また、公明党は増設された都県の小選挙区に新たな候補者を擁立する方針であったため、埼玉県第14区には同年9月に15年間務めた山口那津男に代わり、党代表に就任した石井啓一が小選挙区から初めて出馬したが、国民民主党の前職に敗れ、2009年衆院選の太田昭宏以来の現職党代表の落選となった[25]。同様に愛知県第16区でも新たに候補を擁立したが国民民主党の新人に惜敗し愛知県初の小選挙区選出とはならなかった[26]。
このほか、東京都第28区でも候補者擁立を目指していたが自民党の反対で断念した結果、都内の小選挙区での自民党の候補者への推薦を一時、見送る一幕があった[27][28][29][30][31]。2023年5月25日、公明党の幹事長(当時)だった石井は自公両党の幹事長・選挙対策委員長の会談、通称「2幹2選」終了後、記者団に当時の自民党幹事長茂木敏充に「東京での信頼は地に落ちた」と面と向かって放ったことを明らかにした[32]。同年8月31日、当時の首相岸田文雄と当時の公明党代表山口との会談で東京での選挙協力が復活した。日本維新の会への警戒感から関係改善に歩み寄った[33]。2012年衆院選以来、守り続けた北海道第10区では立憲民主党の前職に惜敗し議席を失った[34]ため、同衆院選では小選挙区に11人を擁立したが、獲得は4議席に留まった[35]。
全小選挙区からの撤退
[編集]2025年10月に公明党が自公連立政権からの離脱を表明して以降は小選挙区からの一部撤退も検討されるようになった[36]。2026年衆院選が行われることが明らかになった2026年1月に、立憲民主党との間で衆議院議員による新党「中道改革連合」を結成することが決定し、公明党出身の衆議院議員は同党から全員比例単独で立候補する方針を固めた[37]。同衆院選が2026年1月27日に公示され、公明出身者全28人が中道改革連合の比例名簿に比例単独で掲載されたことで、全小選挙区からの撤退が確定した[38]。
公明選挙区における公明党の勝敗
[編集]| 回 | 年 | 立候補 | 当選 | 落選 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| 42 | 2000年 | 18 | 7 | 11 | [要出典] |
| 43 | 2003年 | 10 | 9 | 1 | |
| 44 | 2005年 | 9 | 8 | 1 | |
| 45 | 2009年 | 8 | 0 | 8 | |
| 46 | 2012年 | 9 | 0 | [12] | |
| 47 | 2014年 | [13] | |||
| 48 | 2017年 | 9 | 8 | 1 | [16] |
| 49 | 2021年 | 9 | 0 | [20] | |
| 50 | 2024年 | 11 | 4 | 7 | [35] |
| 51 | 2026年 | 0 | [38] |
公明党が擁立した小選挙区の結果一覧
[編集]- -は公明候補未擁立または選挙区未設置
| 選挙区 | 2000 | 2003 | 2005 | 2009 | 2012 | 2014 | 2017 | 2021 | 2024 | 2026 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 北海道第10区 | - | 公明 | 立憲民主 | 撤退 | ||||||
| 埼玉県第6区 | 民主[注 9] | 民主 | 撤退 | - | - | |||||
| 埼玉県第14区 | - | 国民民主 | 撤退 | |||||||
| 千葉県第2区 | 民主 | 撤退 | - | - | ||||||
| 東京都第4区 | 無所属 | |||||||||
| 東京都第12区 | - | 公明 | 民主 | 公明 | 29区へ移動 | - | ||||
| 東京都第17区 | 自民 | 撤退 | - | - | ||||||
| 東京都第20区 | 民主 | |||||||||
| 東京都第29区 | - | 公明 | 撤退 | |||||||
| 神奈川県第6区 | 民主[注 9] | 公明 | 民主 | 公明 | 立憲民主 | 撤退 | - | |||
| 静岡県第1区 | 無所属 | 撤退 | - | |||||||
| 愛知県第1区 | 民主 | |||||||||
| 愛知県第6区 | ||||||||||
| 愛知県第16区 | - | 国民民主 | 撤退 | |||||||
| 大阪府第3区 | 公明 | 民主 | 公明 | 維新 | ||||||
| 大阪府第5区 | ||||||||||
| 大阪府第6区 | ||||||||||
| 大阪府第10区 | 社民 | 撤退 | - | |||||||
| 大阪府第16区 | 公明 | 民主 | 公明 | 維新 | 撤退 | |||||
| 兵庫県第2区 | 公明 | |||||||||
| 兵庫県第8区 | 新党日本 | |||||||||
| 広島県第3区 | - | - | 公明 | |||||||
| 高知県第1区 | 自民 | 撤退 | - | |||||||
| 沖縄県第1区 | 公明 | 無所属 | 撤退 | - | ||||||
脚注
[編集]注釈
[編集]- ↑ 正確には小選挙区比例代表並立制。日本の衆議院では1994年に導入され、1996年から実施されている。
- ↑ 1994年に公明党は1998年改選の参議院議員が残留する形で改選の近い衆議院議員と1995年改選の参議院議員が先行して非自民第一党である新進党に合流し、1996年衆院選では公明党の支持母体である創価学会は新進党候補を支援した。
- ↑ 2026年現在は289選挙区。
- ↑ 4選挙区とも公明候補が落選している。
- ↑ ただし、公明選挙区において地方議員や国会議員の経験がある自民系無所属候補が立候補した例はある。
- ↑ 結果は太田が当選し、八代は落選した。
- ↑ うち5人の候補者が前回から交代した。
- ↑ 双方とも維新候補が比例復活当選。
- 1 2 公明候補が比例復活当選。
出典
[編集]- ↑ “千葉2区 - 第42回衆議院議員選挙(衆議院議員総選挙)2000年06月25日投票”. 選挙ドットコム. イチニ株式会社. 2024年10月30日閲覧。
- ↑ “東京17区 - 第42回衆議院議員選挙(衆議院議員総選挙)2000年06月25日投票”. 選挙ドットコム. イチニ株式会社. 2024年10月30日閲覧。
- ↑ “静岡1区 - 第42回衆議院議員選挙(衆議院議員総選挙)2000年06月25日投票”. 選挙ドットコム. イチニ株式会社. 2026年8月5日閲覧。
- ↑ “高知1区 - 第42回衆議院議員選挙(衆議院議員総選挙)2000年06月25日投票”. 選挙ドットコム. イチニ株式会社. 2024年10月30日閲覧。
- ↑ “東京4区 - 第42回衆議院議員選挙(衆議院議員総選挙)2000年06月25日投票”. 選挙ドットコム. イチニ株式会社. 2026年8月5日閲覧。
- ↑ “千葉2区 - 第42回衆議院議員選挙(衆議院議員総選挙)2000年06月25日投票”. 選挙ドットコム. イチニ株式会社. 2026年8月5日閲覧。
- ↑ “東京20区 - 第42回衆議院議員選挙(衆議院議員総選挙)2000年06月25日投票”. 選挙ドットコム. イチニ株式会社. 2026年8月5日閲覧。
- ↑ “神奈川6区 - 第42回衆議院議員選挙(衆議院議員総選挙)2000年06月25日投票”. 選挙ドットコム. イチニ株式会社. 2026年8月5日閲覧。
- ↑ “愛知1区 - 第42回衆議院議員選挙(衆議院議員総選挙)2000年06月25日投票”. 選挙ドットコム. イチニ株式会社. 2026年8月5日閲覧。
- ↑ “東京12区 - 第44回衆議院議員選挙(衆議院議員総選挙)2005年09月11日投票”. 選挙ドットコム. イチニ株式会社. 2024年10月30日閲覧。
- ↑ “北海道10区 - 第46回衆議院議員選挙(衆議院議員総選挙)2012年12月16日投票”. 選挙ドットコム. イチニ株式会社. 2024年10月30日閲覧。
- 1 2 “公明31議席の大勝利”. 公明新聞. 公明党. 2012年12月18日. 2025年1月1日閲覧.
- 1 2 “公明35議席の大勝利”. 公明新聞. 公明党. 2014年12月16日. 2025年1月1日閲覧.
- ↑ “神奈川6区 - 第48回衆議院議員選挙(衆議院議員総選挙)2017年10月22日投票”. 選挙ドットコム. イチニ株式会社. 2024年10月30日閲覧。
- ↑ “東京12区 - 第49回衆議院議員選挙(衆議院議員総選挙)2021年10月31日投票”. 選挙ドットコム. イチニ株式会社. 2024年10月30日閲覧。
- 1 2 “公明29議席 政権に信任”. 公明新聞. 公明党. 2017年10月24日. 2025年1月1日閲覧.
- ↑ 武井宏之; 岩本修弥; 松沢奈々子; 林瞬; 末崎毅; 田井中雅人 (2021年2月2日). “公明、神奈川6区の擁立見送りへ 遠山氏が辞職し空白に”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社. 2021年2月2日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年1月22日閲覧.
- ↑ 広池慶一 (2021年4月18日). “【闘う】衆院神奈川6区 25年ぶりに自民が候補擁立 首相に近い横浜市議 立民はカジノ批判”. 産経新聞. 産経新聞社. 2025年1月22日閲覧.
- ↑ “衆議院選挙2021 広島(呉・竹原など)開票速報・選挙結果 小選挙区”. NHK. 2024年11月1日閲覧。
- 1 2 “第49回衆院選 結果分析”. 公明党. 2021年11月3日. 2025年1月1日閲覧.
- ↑ “衆議院選挙2024 兵庫(神戸・姫路など)開票速報・選挙結果”. NHK. 2024年10月30日閲覧。
- ↑ “衆議院選挙2024 大阪(堺・岸和田など)開票速報・選挙結果”. NHK. 2024年10月30日閲覧。
- ↑ 後藤謙次 (2023年2月3日). “岸田首相が解散に触れ続ける裏で、波乱呼ぶ「新区割り」の候補者調整”. ダイヤモンド・オンライン. ダイヤモンド社. 2025年1月22日閲覧.
- ↑ “小選挙区支部長に選任されました!”. 高木けい 公式サイト (2023年7月19日). 2025年1月22日閲覧。
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- ↑ “衆議院選挙2024 北海道(札幌・函館など)開票速報・選挙結果”. NHK. 2024年10月30日閲覧。
- 1 2 “第50回衆院選 結果分析”. 公明党. 2024年10月30日. 2025年1月1日閲覧.
- ↑ “公明党、衆院小選挙区「一部撤退あり得る」 野党と選挙協力否定せず”. 日本経済新聞. 日本経済新聞社. 2025年10月12日. 2026年1月20日閲覧.
- ↑ “立憲と公明が新党結成へ、15日に党首会談 公明は小選挙区撤退方針”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社. 2026年1月14日. 2026年1月20日閲覧.
- 1 2 国吉美香 (2026年1月28日). “中道の比例名簿、1位は公明側独占 立憲側の狙いは「バーター」戦略”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社. 2026年1月31日閲覧.
参考文献
[編集]- 薬師寺克行『公明党 - 創価学会と50年の軌跡』中央公論新社〈中公新書〉、2016年4月19日。ASIN 4121023706。ISBN 978-4-12-102370-4。 NCID BB21084225。OCLC 951817426。全国書誌番号:22719071。