鉄道コム

助川康史の「鉄道写真なんでもゼミナール」

名撮影地「モノサク」を極める! 編成写真や流し撮り、イメージ写真撮影まで おすすめ撮影ポイントと楽しみ方をご紹介

2026年7月18日(土) 鉄道カメラマン 助川康史

撮影スタイルと「撮影地」

記念すべき第30回「助川康史の『鉄道写真なんでもゼミナール』」は、普段と趣向を変えて、撮影地のお話をしたいと思います。

今回のテーマは名撮影地「モノサク」!
今回のテーマは名撮影地「モノサク」!

より良い鉄道写真を撮るために欠かせない重要なものはいくつかあります。撮影機材の性能、様々な場面における洞察力&計画力、そして撮影スキルなどなど。これら一つだけではなく、複数あるいは全ての事柄を網羅することで、良い作品が生まれます。

そして、今回のテーマでもある「撮影地」も、その事柄の一つです。ただ「良い撮影地」と言ってもこれが一番アバウトで、撮影者の求める作品によって撮影地の考え方は大きく変わります。

たとえば、編成写真撮影が好きな人は、先頭車から最後尾まで綺麗に入り、背景もすっきりした場所を好みます。しかし、そこは鉄道風景写真が好きな人にとっては魅力を感じない場所で、線路から離れた美しい風景が見える場所に行きますね。また、そんな場所でも、街の雑踏や人々と列車を狙う鉄道スナップが好きな人には楽しく感じないかもしれません。流し撮りは?鉄道イメージ写真は?夜間撮影は?それぞれの撮影スタイルによって、求める撮影地は大きく変わります。

最近は、SNSを始め、様々な場所や媒体で鉄道写真を発表&拝見する機会が増えました。人様の作品を拝見して「これが撮りたい!」と思えば、その人にとっての素晴らしい撮影地になります。ぜひ、様々なアプローチをして、自分の撮影スタイルにぴったりな撮影スポットを探してみましょう!

鉄道写真家を育てる「モノサク」

キハは北海道から……ではなく(笑)、北は北海道から南は九州まで、鉄道撮影地というのは数多(あまた)あります。私もプロとして、全国各地の路線と撮影地に訪れては、様々な作品を撮影してきました。

ただ、どの撮影地にも言えることは、多くて2種類、大抵は1種類の撮影しかできない場所が多いということです。たとえば、「編成写真」と「流し撮り」はできても、鉄道風景や鉄道スナップは撮影できなかったり、また「編成写真」も右頭の編成写真は撮れても左頭の編成写真は撮れなかったりなどなど……。撮影の内容も限定される場所ばかりで他の写真を撮るには遠距離を移動するということが当然のごとくあります。

しかし、千葉県にその常識を覆す貴重な撮影地があります!それが、今回のテーマである総武本線の物井~佐倉間、通称「モノサク」です。

モノサクは、日の出前から日の入り後まで、一日を通して撮影を楽しめ、また様々な撮影方法が亀崎踏切を中心に半径約200メートルの中で体験できるのです!しかも列車本数は多く、特急「成田エクスプレス」「しおさい」や貨物列車までも走ります。

特に撮影技術を磨くには、いくら場所が良くても、列車本数が少ないと練習になりません。私も作例撮影やニコンカレッジの撮影実習でモノサクを利用することが多いのですが、それは様々な作例や機材テスト、作品撮りをこの一か所でこなせるからです。モノサクは、「写真家を育てる撮影地」と言っても過言ではないのです!

暗闇から現れる209系――このようなイメージ写真も、流し撮りも、そして鉄道写真の基本である編成写真も、モノサクでは撮影可能!
暗闇から現れる209系――このようなイメージ写真も、流し撮りも、そして鉄道写真の基本である編成写真も、モノサクでは撮影可能!

では、そのモノサクがどのような撮影をすることができるのか、私がベストと考える撮影時間も含めて、撮影スタイルと作品をご紹介したいと思います。

それにつけても写真は編成~!(笑)

鉄道写真愛好家には、モノサクと聞いて「編成写真のメッカ」と答える人も多いと思います。現に、ネタな特別列車が走る時はもちろん、平常通りの平日であっても人がいることがあるのですが、皆さんは大抵編成写真を撮影しています。

ちなみに、鉄道写真に詳しくない人のために説明しますが、編成写真とは車両をフレーミングいっぱいに撮影する鉄道写真の種類の一つで、車両ファンが好んで撮影する写真です。車両目当ての写真だけにマニアックな撮影と思われますが、私が普段からセミナー等では鉄道写真撮影の中でも「基本中の基本」と言っています。

鉄道写真撮影の中でも「基本中の基本」である編成写真。モノサクでは、さまざまな編成写真の構図に挑戦できます
鉄道写真撮影の中でも「基本中の基本」である編成写真。モノサクでは、さまざまな編成写真の構図に挑戦できます
上の作品は、このあとご紹介する「亀崎踏切」の東側、踏切より架線柱1本分物井駅に進んだ場所付近から撮影しています

列車をブラさないシャッタースピードを選び、ピントの合わせ方を列車の動きに追従させる「コンティニュアスAF」に任せるのか、それともマニュアルの「置きピン」にするのかなどなど、高速で走る列車を写し止めるためのセッティングをします。

そして何より大切なのが、レンズワークとフレーミングです。モノサクを走る列車は、各駅停車の209系が4・6・8両、快速のE235系が11両または15両、E259系「成田エクスプレス」が12両、「しおさい」が5両または6両と、両数がバラバラ。よって、列車の長さにあわせ、微妙に焦点距離を変更する必要があります。これがレンズワークとフレーミングの練習になります。

特に編成写真は車両が中心だけに、列車全体のバランスが重要になりますが、当然のことながら、前もって列車がいない状況でセッティングすることになります。車両の長さを考慮してベストな構図にする想像が、編成写真撮影の難易度を上げます。他にも、背景の処理や高速シャッタースピードを重視した、適切な露出ワークなどが不可欠です。

それらを踏まえて撮影に臨むわけですが、このモノサクで安全で最もおすすめする撮影地は2か所。ひとつは、午前の亀崎踏切よりも物井駅よりのインカーブで、上り列車を「左頭」で撮影するポイントです。

ちなみに、近年は線路際の多くにフェンスが設置されて列車を綺麗に撮影できなくなっていますが、モノサクは上下線とも線路際にフェンスがなく、ローアングルでも伸びやかに撮影できます。

モノサクの編成写真オススメ撮影地その2。「亀崎踏切」より少し物井駅寄りにある、インカーブで撮影するポイントです
オススメ撮影地その2で撮影できる写真。上り列車を「左頭」で撮影するポイントです。この地点付近では、上の写真(下り列車)も撮影可能です
オススメ撮影地その2で撮影できる写真。上り列車を「左頭」で撮影するポイントです。この地点付近では、上の写真(下り列車)も撮影可能です

ここでの撮影のワンポイントですが、左頭で撮るために、架線柱は必ず列車側面に掛かるようになります。その車両に掛かる架線柱の処理が重要で、画面の真ん中に架線柱が掛からないよう、中央よりも右側にずらす構図や焦点距離にする必要があります。もし、画面の中央に架線柱が来ると、構図全体を2分するような印象を見る側に与えることになり、車両も窮屈そうに感じてしまいます。「車両に掛かる架線柱は構図の真ん中に来ないようにする」。このコツを覚えておきましょう。

また、ここは普通列車も特急も時速100キロ以上で通過するので、標準レンズで撮影となると、画面いっぱいまで先頭部を引き付けると見かけの速度が速くなります。そのため、AFは被写体追従型のコンティニュアスAFではなく、シングルAFモードで「置きピン」をした方が確実です。シャッタースピードや絞りなど、他のセッティングに関しては以前の連載でも取り上げているので、そちらを参考にしてください。

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もうひとつの編成写真のオススメ撮影場所は、亀崎踏切を渡った先の下り線側に沿った場所です。こちらも上り列車を狙うのですが、望遠系のレンズを使用する「右頭」編成写真撮影地です。このアングルが「ザ・モノサク」とも言うべき代表的なポイントで、この場所の作品を見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。

【お知らせ】

本連載「助川康史の『鉄道写真なんでもゼミナール』」では、読者の皆さまより質問を募集しています。

「もっと上手になるためにはどうすれば?」「オススメの機材は?」「プロカメラマンになるにはどうしたら?」などなど、助川康史さんへの質問をお待ちしております!

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