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なぜミラブルシャワーはこすらず汚れ落ちる? ファインバブル技術がすごかった!
2026年8月21日 08:04
ファインバブル生成機構を備えた高機能シャワーヘッドが続々登場している。そのファインバブルを「専業」としているメーカーがサイエンス。シャワーヘッド「ミラブル」シリーズを展開しており、頬に油性マーカーで書いた線にシャワーを当てるテレビCMを見たことがある人もいるだろう。2025年の大阪・関西万博に出展した「ミライ人間洗濯機」も注目を集めた。
そんな同社が新たに発売したのは「ミラブルEx」(38,500円)。ミラブルテクノロジーの集大成というシャワーヘッドだ。初回出荷分が約1週間で完売するなど大きな反響があった同製品を、実際に本社のある大阪のショールームで体験。ゴシゴシこすらなくても汚れが落ちるという、高い洗浄力を実現するための工夫を見てきた。
そもそもファインバブルとは
ファインバブルとは、直径100μm未満の小さな泡のこと。直径100μm未満、1μm以上の泡を「マイクロバブル」、それよりも小さな直径1μm未満の泡を「ウルトラファインバブル」と呼ぶ。いずれも汚れに吸着するのは共通しているが、それぞれ性質が異なっており、同社はマイクロバブルを界面活性剤のような役割、ウルトラファインバブルを研磨剤のような役割と説明している。
マイクロバブルはゆっくり浮上する性質を持っている。お風呂に最適で、入浴時にファインバブルを含んだお湯に浸かるだけで汚れを浮かすことができるという。ただし、泡は壊れやすく長持ちしない。また、マイクロバブルを含んだ水は白濁するのも特徴だ。
ウルトラファインバブルは浮上しない性質のため、マイクロバブルとは異なり浸かるだけで汚れを浮かせることはできない。一方で壊れにくいことからシャワーに適しており、水流との組み合わせで汚れを洗い流すことができる。ウルトラファインバブルがたくさん入っていても、水は透明に見える。
サイエンスのシャワーヘッドの強みは、安定して大量のウルトラファインバブルを作れることにあるという。特許取得済みのウルトラファインバブル発生機構「トルネードミスト」は1秒間に約2,000回転の高速うず水流によりウルトラファインバブルを生成。外気を巻き込む機構によって、バブルの安定供給を実現する。
こうした同社のコア技術の開発を先導したのは、代表取締役副社長の平江真輝さん。平江さんは以前、造船分野の研究に携わっており、そこで得た知見がファインバブル吐水技術に活かされているのだという。
船を前進させる推進力を生むスクリューは、回転するときに泡が発生する。この泡がスクリューを傷つけてしまうことから、船の世界において泡は「邪魔者」とされてきた。
平江さんはこの泡を消したり、発生させないようにするための技術開発を進める過程で、泡が発生する仕組みについても研究。このノウハウがファインバブル技術のベースにあるとしている。
バブルだけじゃない、水流にもこだわり
洗浄力の高さが同社シャワーヘッドの特徴だが、これにはウルトラファインバブルだけでなく、水流設計も大きく関わっている。
水流がバブルを細かなキメや毛穴の奥まで届け、届いたところでバブルが作用。さらに洗浄剤を使えば、洗浄成分がバブルにまとわりついて隅々まで届くため、毛穴の奥に潜んだ汚れにもアプローチできる。水流とウルトラファインバブルの相乗効果によって、高い洗浄力を実現しているのだという。
トルネードミスト水流では、水をドリルのように回転させることで、少ない水量でも毛穴の奥の汚れをかき出せるという。また、1秒間に約2,000回と高速で回転することで、油分を乳化させて落としやすくしている。
実際に油を塗布したお皿をトルネードミストで洗浄したところ、洗剤を使っていないのに洗い上がりはキュッと音が鳴るくらい油がしっかり落ちていた。
7月25日に発売した新シャワーヘッド「ミラブルEx」には3つの水流モードを搭載。上述のトルネードミストを採用した「肌つやモード」と、「頭皮モード」「歯間モード」だ。
頭皮モードは2本の水流を吐出後に衝突させることでねじれ流を生み、ウルトラファインバブルを生成。ねじれ流が髪の毛をかき分けて、頭皮や毛穴までムラなく洗えるようにしている。
歯間モードは中心が空洞になったストロー状の水流を採用。空洞部の空気を取り込みながらウルトラファインバブルを生成する。水流に薄膜の部分ができるため、歯間などの隙間洗浄に最適だという。
いずれも吐水機構を一から見直すことで、ウルトラファインバブルをより多く生成できる水流へとバージョンアップ。また、一般的にミストシャワーは冷たく感じやすいが、肌つやモードは従来よりも温かく感じやすい水流に仕上げている。
ミラブルシリーズは、一般社団法人ファインバブル産業会(FBIA)が管理するシャワーヘッド測定規格に基づくファインバブル製品認証において「クラス7ab」を取得。これは0.01~1μmの気泡が1mlあたり1,000万~1億個発生していることを示す指標だという。
新モデルではデザインも刷新し、洗練されたフォルムとカラーを採用。約265gへの軽量化と、止水ボタンの位置変更によって操作性も向上させている。塩素除去カートリッジ「トルネードスティック」が付属。
なお他社製シャワーヘッドには、お湯を張った浴槽にシャワーヘッドを入れてバブルバスを作れる製品もあるが、ミラブルは対応していない。同シリーズはマイクロバブルを生成しないため、バブルバスを作ったとしても浸かった際の洗浄効果は期待できないという。
現在同社のシャワーヘッドは、ミラブルEx、ミラブルzero、ミラブル爽、ミラブル潤、ミラブル艶の5モデルがラインナップ。これらは併売していく予定で、いずれも水流設計が異なることから、機能によって使い分けることを提案している。
同社は「これからは1人1本の時代」を目指すとし、シャワーヘッドを簡単に付け替えられる機構の開発も視野に入れているという。
ミライ人間洗濯機が介護で活躍?
サイエンスは、サイエンスホールディングスの代表取締役会長・青山恭明さんが、アトピーに苦しむ娘を救いたいという思いからスタートしている。重度のアトピー症状が塩素を除去するシャワーヘッドの使用で改善した経験をもとに、同じ悩みを持つ人の役に立ちたいと、家庭で使う水すべてを浄水するシステムの販売を2007年に開始。この「お役立ち」の精神が、同社の事業展開の根幹にあるという。
2008年にはマイクロバブル入浴装置を発売。マイクロバブルを含んだお湯で汚れを落とせる一方で、肩から上は浸かることができないため「お湯の中に潜ってバブルを浴びている」という声を受け、ウルトラファインバブルのシャワーヘッドが誕生した。
お風呂に適したマイクロバブルと、シャワーに適したウルトラファインバブルの両方を搭載したのが、2025年万博の「ミライ人間洗濯機」だ。お湯に浸かる部分はマイクロバブルで、顔や頭にはウルトラファインバブルのシャワーでアプローチし、「浸かるだけで全身洗浄」を実現する。
こすらずに15分で全身の洗浄が可能という夢のようなマシンだが、これを介護現場向けに実用化した「ミラブル アシストバス」の先行販売が現在始まっている。人間洗濯機は6,000万円だが、ミラブル アシストバスはその約1/30である2,035,000円。
最大のポイントは「またがずに入れる」こと。浴槽にドアを設け、大きく足を上げてまたがなくても入れるようにしたことで転倒リスクを抑えている。
浴槽内にはベンチを設け、利用者は座って浸かるだけでマイクロバブルが汚れを落としてくれる。介助者が利用者の身体を支えるといった負荷の高い作業も大幅に軽減されるという。
洗浄剤を使ったり、ゴシゴシこすったりする必要がないため、デリケートな肌質の人も安心して利用できるのがポイント。顔や髪はミラブルのシャワーで洗浄する。
介護現場において、入浴介助は介助者・利用者双方にとって負担が大きいとされ、安全面への配慮も求められる。ミラブル アシストバスの導入によってこれらの問題が解決し、人手不足のなかにある現場の負担が軽減されることが期待できる。
同社はこのように見過ごされてきた社会課題の解決を目指し、ファインバブル技術を多方面に展開してきた。現在は、無重力空間でも使える「宇宙シャワー」を開発するなど、家庭用の枠を超えてさまざまなところでファインバブルが活用されている。家庭で使うシャワーヘッドに留まらず、介護や医療、工業や農業、水産といった分野の課題に対応できることを強みとして、これからも「お役立ち」の取り組みを広げていきたいとしている。




















